CASE STUDY

10年前の業務システムを.NET 8+Azureへモダナイズし、全国220拠点の共通業務基盤を再構築

約10年前に構築した.NET FrameworkベースのWindows業務システムを.NET 8+Azure App ServiceによるWebアプリケーションへモダナイズ。Microsoft 365とEntra IDを全国共通の認証・ユーザー管理基盤として整備し、政府情報システムに求められるセキュリティ要件を踏まえた設計と、全国約220拠点への展開まで一貫して実施。紙による申請・届出業務についてもシステム化し、IT基盤と業務プロセスの双方を再構築した事例。

業種
非公開
従業員数規模
50~100名
拠点数
全国約220拠点
地域
日本全国

導入前のお客様環境

  • 約10年前に構築した業務システムを継続利用
  • Windows向けクライアントアプリケーションを中心とした構成
  • アプリケーションは.NET Framework 4.0ベース
  • システムで使用しているミドルウェアのサポート期限が迫っていた
  • 全国約220拠点から業務システムを利用
  • 本部と各事業所との間で申請・届出業務を実施
  • 一部の申請書類や添付資料は紙で授受
  • 業務システムと紙による業務フローが併存
  • 全国拠点の利用者・端末・アクセス権限を統一的に管理する必要があった

ご相談いただいた内容・お客様の悩み

約10年前に構築した業務システムについて、使用しているミドルウェアや開発基盤のサポート期限が近づいており、継続利用に伴う保守性・セキュリティ・将来性が課題となっていました。

単純に既存システムを新しいサーバへ載せ替えるのではなく、今後長期間利用できるシステムへ刷新したいという要望がありました。

また、全国約220拠点が同じ業務システムを利用するため、

  • 誰がシステムへアクセスできるのか
  • どの端末を利用させるのか
  • 全国の利用者をどのように管理するのか
  • 拠点ごとの設定差異をどのように減らすのか

といった、アプリケーション以外の認証・端末・セキュリティ管理も重要な課題でした。

さらに、公共性の高い業務を扱うことから、政府情報システムに求められるセキュリティ要件も踏まえたクラウド・ネットワーク・端末構成とする必要がありました。

業務面では、各事業所から本部への申請・届出について紙による授受が残っており、書類の送付・確認・保管に担当者の負担がかかっていました。

課題と実施内容

THEME 01

10年前の業務システムを継続利用できる技術基盤へ移行したい

既存システムで利用している.NET Frameworkやミドルウェアが旧世代となり、今後の保守・セキュリティ・拡張性に課題がありました。

課題の内容

既存の業務システムは約10年前に開発され、.NET Framework 4.0を中心としたWindowsアプリケーションとして運用されていました。

長期間安定して利用されてきた一方で、基盤となるミドルウェアやフレームワークの世代が古くなり、今後も同じ構成で維持し続けることは難しくなっていました。

既存機能をすべてゼロから作り直すと、開発費用や業務確認の負担が大きくなります。

そのため、これまで蓄積してきた業務ロジックや既存資産を可能な限り活用しながら、将来の保守性・拡張性に対応できる新しい技術基盤へ移行する必要がありました。

提案方針

既存の業務ロジックを確認しながら、.NET Framework 4.0ベースのWindowsアプリケーションを.NET 8ベースのWebアプリケーションへ再構築することを提案しました。

新しいシステムはAzure上で稼働させることを前提とし、OS管理を必要とする仮想マシン中心の構成ではなく、Azure App ServiceなどのPaaSを利用する構成としました。

この提案を採用いただいた理由

既存資産を活かしながら、現在サポートされている技術基盤へ移行できる点を評価いただきました。

また、Webアプリケーション化することで、各端末へ専用クライアントアプリケーションを個別導入する必要を減らせることもメリットとなりました。

Azure PaaSを利用することで、サーバOSそのものの構築・パッチ管理・保守に必要な負担を抑えられる点も採用理由となりました。

.NET Framework 4.0から.NET 8へ業務システムを再構築

  • 既存Windowsアプリケーションの機能・業務ロジックを調査
  • 既存資産の再利用可能範囲を整理
  • .NET 8へアプリケーションを再構築
  • WindowsアプリケーションからWebアプリケーションへ変更
  • Azure上で稼働するアーキテクチャへ変更
  • Azure App Serviceを中心としたPaaS構成を採用
  • インフラとアプリケーションの責任範囲を整理
  • 新環境に合わせてUI・操作性も見直し
#.NET 8#Microsoft Azure#Azure App Service#Webアプリケーション
RESULT

10年前の業務資産を活かしながら、今後も継続利用しやすいシステムへ

既存業務ロジックを可能な限り活かしながら、新しい.NET 8ベースのWebシステムへ移行しました。

従来のWindowsアプリケーションからWebアプリケーションへ変更したことで、端末側の個別管理を減らしやすい構成となりました。

また、Azure PaaSを利用することで、従来必要だったサーバOSやミドルウェア基盤の管理負担も軽減しています。

THEME 02

紙で行っていた申請・届出業務をシステム化したい

全国事業所と本部の間で行われる一部の申請・届出では紙が残っており、送付・確認・保管に手間がかかっていました。

課題の内容

既存業務システムを利用している一方で、一部の申請・届出については紙の書類を利用していました。

全国約220拠点から本部へ書類を提出するため、紙の場合は、

  • 書類作成
  • 印刷
  • 送付
  • 本部での受領
  • 内容確認
  • 保管

といった手順が必要になります。

また、申請情報は業務システムに存在していても、関連書類だけが紙で保管されているため、情報確認時にシステムと紙の双方を確認する必要がありました。

提案方針

業務システムのモダナイズに合わせて業務フローそのものも見直し、これまで紙で提出していた資料を業務システムへ添付できる仕組みを追加しました。

システム刷新を単なる技術更新にせず、業務改善の機会として利用する方針としました。

この提案を採用いただいた理由

既存業務と大きく異なる別システムを導入するのではなく、日常的に利用する業務システムの中で申請情報と添付資料をまとめて管理できるため、利用者にとって分かりやすい構成となる点を評価いただきました。

紙の添付資料を業務システム上で管理

  • 既存の申請・届出フローを整理
  • 紙で提出していた資料を洗い出し
  • Webアプリケーションへファイル添付機能を実装
  • 申請情報と関連資料を紐付け
  • 本部側からシステム上で資料確認できる構成へ変更
  • 紙による授受を減らす業務フローへ変更
RESULT

申請情報と関連資料をシステム上で一元確認できるように

紙でやり取りしていた資料をシステムへ添付できるようになったことで、書類の送付や保管にかかる作業を削減しました。

本部担当者も、申請情報と関連資料を同じシステム上で確認できるようになり、紙とシステムを行き来する必要が減りました。

システムの技術更新だけではなく、実際の業務手順も含めて改善することができました。

THEME 03

全国220拠点のユーザーとアクセス権限を統一的に管理したい

全国に多数の事業所があるため、利用者ごと・拠点ごとに業務システムへのアクセスを適切に管理できる共通認証基盤が必要でした。

課題の内容

全国約220拠点から同一の業務システムを利用するため、単純にIDとパスワードを配布するだけではなく、

  • 誰が利用者なのか
  • どの事業所に所属しているのか
  • どのシステム・情報へアクセスできるのか
  • 退職・異動時にどのように権限を変更するのか

を一貫して管理する必要がありました。

拠点数が多いため、個別のローカルアカウント管理では運用負荷も大きくなります。

提案方針

Microsoft 365を共通認証・ユーザー管理基盤として利用し、Microsoft Entra IDを中心にユーザー・グループ・アクセス権限を管理する構成としました。

業務システムについてもMicrosoft 365側の認証基盤と連携させ、利用者管理を可能な限り共通化しました。

Microsoft 365を全国共通のユーザー管理基盤として導入

  • Microsoft 365を導入
  • Microsoft Entra IDによるユーザー管理
  • 組織・役割に応じたグループ設計
  • 業務システムとの認証連携
  • アクセス権限を利用者・役割に応じて整理
  • アカウントの追加・変更・停止手順を標準化
#Microsoft Azure#Microsoft 365#Microsoft Entra ID
RESULT

全国の利用者を共通基盤で管理できる環境へ

全国約220拠点の利用者について、Microsoft 365を中心とした共通の認証・ユーザー管理基盤を構築しました。

利用者の所属や役割に応じてアクセス権限を管理しやすくなり、異動・追加・利用停止などにも共通手順で対応できる環境となりました。

THEME 04

政府情報システムに求められるセキュリティ要件を踏まえたい

公共性の高い業務を扱うため、クラウドだけでなくユーザー・端末・ネットワークまで含めたセキュリティ設計が必要でした。

課題の内容

新システムをクラウド化するにあたり、単純にAzureへアプリケーションを配置するだけではなく、利用者側を含めたセキュリティ設計が必要でした。

特に全国多数の事業所から利用するため、

  • クラウド側のセキュリティ
  • 認証
  • アクセス制御
  • 利用端末
  • ネットワーク
  • ログ
  • 運用ルール

を含めて全体を設計する必要があります。

また、政府情報システムに求められるセキュリティ要件を踏まえた構成とするため、採用するクラウドサービスや設定内容についても慎重な検討が必要でした。

提案方針

ISMAPクラウドサービスリストに登録されているMicrosoftのクラウドサービスを基盤として採用し、AzureおよびMicrosoft 365のセキュリティ機能を組み合わせて全体構成を設計しました。

クラウド側だけではなく、実際に利用するユーザーと端末を含めたセキュリティ設計を行いました。

この提案を採用いただいた理由

クラウド事業者の選定だけでなく、実際の利用方法やアクセス制御を含めてセキュリティ要件を整理できることが評価されました。

また、AzureとMicrosoft 365を組み合わせることで、クラウド、ユーザー認証、端末管理を共通したMicrosoft基盤上で設計できる点も採用理由となりました。

Azure・Microsoft 365を含めたセキュリティ設計

  • ISMAP登録サービスを前提としたクラウドサービス選定
  • Azureネットワーク設計
  • Microsoft 365認証設計
  • Microsoft Entra IDによるユーザー管理
  • アクセス権限設計
  • 端末管理方針を策定
  • 利用者側のセキュリティポリシーを設計
  • AzureとMicrosoft 365を含めたセキュリティ構成を整理
  • 運用・管理手順を整備
#Microsoft Azure#Microsoft 365#Microsoft Entra ID#ISMAP登録Microsoftクラウドサービス
RESULT

クラウドだけではなく、利用者側まで含めたセキュリティ構成へ

Azure側のシステムセキュリティだけでなく、利用者の認証、アクセス権限、端末、運用方法まで含めて全体を設計しました。

公共性の高い業務システムとして求められるセキュリティ要件を踏まえながら、全国から利用できるシステム環境を構築しました。

THEME 05

全国220拠点へ大きな混乱なく導入したい

200を超える事業所へ新しいシステムやMicrosoft 365環境を展開するため、技術構築だけでなく導入手順と問い合わせ対応体制が必要でした。

課題の内容

システムそのものが完成していても、全国約220拠点の利用者が正しく利用開始できなければプロジェクトは完了しません。

大規模な拠点展開では、

  • 利用開始手順が分からない
  • 拠点ごとに設定内容が異なる
  • 問い合わせが本部へ集中する
  • 作業漏れが発生する

といった問題が発生しやすくなります。

そのため、システム開発と並行して導入方式そのものを設計する必要がありました。

提案方針

全国展開を一つのプロジェクトとして管理し、拠点側で実施する作業をできるだけ標準化しました。

導入手順、利用者向け説明、問い合わせ方法を整理した上で、段階的に全国へ展開しました。

220拠点への展開手順と問い合わせ体制を整備

  • 拠点導入作業を標準化
  • 導入手順書を作成
  • 利用者向け案内を整備
  • 拠点側の実施作業を明確化
  • 問い合わせ窓口・対応フローを構築
  • 本部と連携して進捗を管理
  • 全国拠点への段階導入を実施
  • 導入時の問題・問い合わせ内容を継続的にフィードバック
#Microsoft Azure#Microsoft 365#新業務システム#導入・運用支援
RESULT

200拠点を超える全国展開を大きな問題なく完了

手順と問い合わせ体制をあらかじめ整備したことで、全国約220拠点への新環境導入を大きな混乱なく実施することができました。

システムの構築だけでなく、利用者が実際に利用を開始するところまで含めてプロジェクトとして管理したことが、円滑な全国展開につながりました。

関連して実施した見直し

今回のプロジェクトでは、旧システムの技術基盤だけを新しくするのではなく、

  • アプリケーション
  • UI
  • 業務フロー
  • 認証
  • 権限管理
  • 端末
  • ネットワーク
  • セキュリティ
  • 全国展開方法

まで含めて見直しました。

従来のWindowsアプリケーションをそのままクラウド上へ移設するのではなく、Webアプリケーションとして再構築し、Azure PaaSを活用することでインフラ運用負担を減らしています。

また、Microsoft 365を全国共通のユーザー・認証基盤として導入し、全国約220拠点を一つの業務基盤で利用できるようにしました。

業務面についても、紙で行っていた申請・届出の一部をシステムへ取り込み、システム刷新と同時に業務プロセスそのものを改善しました。

導入した全体構成

業務システム

  • .NET 8
  • Webアプリケーション
  • Microsoft Azure
  • Azure App Service
  • Azure上のデータ・業務基盤

認証・ユーザー管理

  • Microsoft 365
  • Microsoft Entra ID
  • 全国利用者の共通アカウント管理
  • 組織・役割に応じたアクセス権限

セキュリティ

  • ISMAP登録Microsoftクラウドサービスを採用
  • Azureネットワーク設計
  • Microsoft 365セキュリティ設計
  • 利用者・端末を含めたセキュリティポリシー

全国展開

  • 約220拠点への導入
  • 標準導入手順
  • 利用者向け案内
  • 問い合わせ対応体制
  • 展開進捗管理

導入後、全体としてどう変わったか

導入後の変化

「10年前の業務システム」から「全国220拠点をつなぐクラウド業務基盤」へ

導入前は、約10年前に構築したWindowsアプリケーションを中心に業務を行い、一部の申請・届出については紙による授受も残っていました。

今回、既存業務資産を活用しながら.NET 8へモダナイズし、Azure App Serviceを中心としたWebアプリケーションとして再構築しました。

これにより、従来のようにWindowsクライアントやサーバOSへ大きく依存する構成から、クラウド上で継続的に運用・改善しやすいシステムへ移行しました。

また、Microsoft 365とMicrosoft Entra IDを全国共通のユーザー・認証基盤として整備し、約220拠点の利用者を共通の仕組みで管理できるようにしました。

紙で授受していた資料についてもシステムへ添付できるようになり、本部と事業所双方の業務負担を軽減しています。

クラウドへの移行だけではなく、業務フロー、認証、セキュリティ、全国展開まで含めて再設計したことで、今後の制度変更や業務変更にも対応しやすい業務基盤となりました。

お客様の声

長年利用していたシステムだったため、新しい環境へ移行する際に業務への影響が心配でしたが、従来の業務を確認しながら新しいシステムへ移行することができました。

以前は紙で提出していた資料をシステムから扱えるようになり、本部と各事業所の双方で作業が減りました。

全国に多数の事業所があるため、新しい環境の導入にも不安がありましたが、手順や問い合わせ方法が整理されていたため、大きな混乱なく利用を開始することができました。

画面や操作方法も従来のシステムより分かりやすくなり、単純なシステム更新ではなく業務環境全体が新しくなったと感じています。

とくじ担当者コメント

今回のプロジェクトで特に重視したのは、旧システムを単純に新しい技術へ置き換えるだけではなく、今後長期間利用できる業務基盤として再構築することでした。

既存システムには約10年間運用されてきた業務ロジックが蓄積されていたため、すべてをゼロから作り直すのではなく、利用できる資産を整理しながら.NET 8へ移行しました。

Azureについても、仮想マシン上に従来と同じ環境を作るのではなく、App ServiceなどのPaaSを利用することで、OS管理を減らし、アプリケーションへ集中できる構成を採用しています。

もう一つ大きなポイントはセキュリティでした。

政府情報システムに求められるセキュリティ要件を踏まえる場合、Azure側だけを安全にすればよいわけではありません。

実際に業務を行う利用者の認証、権限、端末、アクセス経路、運用方法まで含めて考える必要があります。

そのため、Microsoft 365とEntra IDも含めて全体を設計し、ISMAP登録サービスを基盤として利用しながら、利用者側まで含めたセキュリティ構成を検討しました。

また、全国約220拠点へ展開するプロジェクトでは、システムを構築することと同じくらい「どうやって利用者へ導入するか」が重要です。

導入手順や問い合わせ体制を事前に整備し、本部と連携しながら展開したことで、大きな問題なく導入を完了できたことは良かったと思います。

システムをモダンなWebアプリケーションへ変更したことで、UIや機能だけでなく、紙で行っていた業務フローそのものを見直すこともできました。

今回の事例は、レガシーシステムのモダナイズ、クラウド移行、セキュリティ設計、Microsoft 365導入、全国展開、業務改革を一つのプロジェクトとして実施した事例だと考えています。